腎臓の病気について調べる

腎臓の病気について調べる

8.検査

  • 1.腎超音波検査

腎機能や尿所見に異常がある場合、腎臓の形や大きさの様子を知るために超音波検査を行います。針を刺したり放射線を当てたりという身体に対する侵襲はなく痛みはともなわず、だいたい15分から20分程度で終わります。腎臓の大きさは、長径が10~12cm程度ですが、徐々に腎機能が低下した慢性腎不全では、腎臓が萎縮して小さくなるとともに、腎臓の皮質と呼ばれる部分が白っぽくなりますので、急性腎不全との鑑別に役立ちます。その他、生まれつきの形態異常や腎臓や尿路の結石、水腎症、嚢胞や腫瘍の有無に有用です。また、ドップラー検査により、腎臓の血流が測定可能であり、高血圧の原因となる腎動脈の狭窄などを見出すことも可能です。

  • 2.腎生検

腎生検とは、腎臓の一部を針で採取し顕微鏡で観察する検査です。蛋白尿や血尿が続くときや原因不明の腎機能低下があるときに、腎臓病の有無、原因、程度を診断するために行います。腎生検の結果は、今後の病気の見通しを予測したり、適切な治療法を決めたりするのに役立ちます。腎生検の方法には、背中を局所麻酔し超音波で腎臓を見ながら行う超音波ガイド下腎生検と、全身麻酔下に側腹部を数cm切開し腎臓を直接見ながら行う開放腎生検があります。腎生検では、幅約1mm、長さ1~2cmの大きさの腎組織を数本採取します。超音波ガイド下腎生検の場合、検査時間は30分から1時間です。検査後は半日から1日ベッド上で安静にします。腎生検の合併症には、生検部位からの出血、痛み、血尿などがあり、ほとんどの場合安静により改善しますが、極まれに、出血量が多く輸血や腎臓の動脈塞栓療法が必要となることがあります。腎生検後の1~2週間はお腹に負担がかかる激しい運動などは避けてください。

  • 3.スタンダードクリアランス(イヌリンクリアランスなど)

腎臓の糸球体は血液中の老廃物を濾過し、尿として排出しています。糸球体の濾過量(GFRといいます)が減少するとクレアチニンなどの老廃物は体内に蓄積するので、糸球体濾過量(GFR)が腎機能の指標として用いられます。明らかに腎機能が低下している場合(GFRの高度低下)には血液検査のクレアチニン値が異常値になることで判断できます。しかし、軽度GFRが低下している場合には、クレアチニン値だけでは正確に診断することは困難です。そのような場合、スタンダードクリアランス検査という、クレアチニンや腎機能検査試薬であるイヌリンの血中濃度と尿中排泄量から濾過量を実測する検査法を用いることにより、腎機能をより正確に評価できます。